レンドル最強説&フェデラー最強説blog

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2011年、ジョコビッチの強さとは

予想に反して4強のうち3人がベスト4に辿り着かなかった今大会でしたが
ジョコビッチが一人貫禄の横綱相撲を披露しました。

ネットなどでは既に4強時代が終わったとする見方もあるようですが、
それはさすがに時期尚早です。もちろんその可能性もあります。
ありますが、ある程度のスパンで同じような傾向が続かない限り
時代が変わったと見るべきではないでしょう。

ほんの1ヶ月半前、今回よりもっと大きな大会であるウィンブルドンで
4強がしっかりベスト4に残っていた事実を忘れるには時間が経っていなさすぎです。
今大会は多くのトップ選手がウィンブルドン後初めての大会でした。
それを考慮から外してしまうわけにはいきません。
USシリーズを通じてどのような傾向が確認されるのかを今後注目していきたいと思います。

それでも、一人勝ちを収めたジョコビッチはやはり凄いです。
非常に充実しており、試合ごとの勝ち方もいい感じです。
決勝のフィッシュ戦はセットを失いましたが、それでも最後にはしっかりと決めてきました。
かつてのジョコビッチであれば、何かのきっかけで
試合中にずるずると調子を下げることもありましたが、
今はその気配が感じられません。

djokovic-9c.jpg
今のジョコビッチの強さとは何なのでしょうか。

今大会で、ジョコビッチはモンフィスを圧倒しました。
単純にショット一つ一つを見ると、モンフィスにしろツォンガにしろ
サーブは速いし、ストロークは強力だし、守備のショットを持っているし
足も速いし、ネットにも積極的に出るしと、ジョコビッチに負けてないポイントが沢山あります。
しかし、結果的にはジョコビッチが試合を支配したのでした。

少し前であればツォンガはジョコビッチによく勝っていました。
その時と比べて、今のジョコビッチが別人のように良くなっているとか
そのような変化があるわけではないと思います。
もちろん変化はあるのでしょうが極端なものではありません。

現在のジョコビッチの強さとは何なのか。
私はラリーで主導権を握る早さと巧さにあるのではないかと感じています。

私なりのイメージでいいますと、以下のようになります。

※一般的なテニスの見方や分析の仕方に合致するものではなく
 あくまでも私のイメージを説明するだけですので
 事実とは異なっているのかもしれません。その点はご了承下さい。

私はテニスでストローク戦を見るときには
選手のショットを大きく3つに分類しています。
「強・中・弱」の3つです。わかりやす過ぎですね。

「強」はもちろん決めに行くショット。
「中」は互角の打ち合いをしている時の様子見のショット。
「弱」は相手に押し込まれた時の守備のショットです。

通常、ラリーというのは「中」の打ち合いになります。
これを如何にして「強」に持っていくかがポイントになるわけです。
これがいわゆる主導権を握るというやつですね。

ジョコビッチはこの「強」への切り替えが秀でているんです。
前から優れたものを持ってはいましたが、今年は何度かのナダル戦、
そして今大会のモンフィス戦を観て顕著にそう感じました。

「中」の打ち合いを行っていると「中」でしか返せないショットが多くあります。
しかし、通常の選手は「中」でもジョコビッチならば強引に「強」で返すことができるのです。
この「中」→「強」の切り替えがジョコビッチは鋭く、使いどころも見事なので
相手としてみれば互角に打ち合っていたはずなのにポイントを取られる形になってしまいます。

例えば今大会、モンフィスも強引な「中」→「強」のショットを打ちましたが
ジョコビッチのほうがボール一個分深いとか、ミスが出ないとか、使う頻度が高いとか
少しずつの差が出ていって、その積み重ねがラリーの完全支配につながっていました。

ショットごとに見れば「強」だけ、「中」だけという具合に
それぞれでそう大きな差はないのかもしれませんが、
その使い方に大きな違いがあるのだと解釈できるかと思います。

このように、ショットそのものが進化したというよりも、
元々持っていた武器をフルに活用できるようになった、
というのが今のジョコビッチの強さの秘密なのではないでしょうか。

fed-04.jpg
因みにですが、圧倒的に強い時のフェデラーは「弱」→「中」が優れていたと思います。
もちろん全部優れていたと言っていいのですが、フェデラーを特徴づけていたのはその守備力です。
相手選手がどんなに強めのショット、いわゆる「中」→「強」を打っても
それを「弱」ではなく「中」で返してしまうため、主導権を握ることが出来ずフェデラーを崩せませんでした。
それが当時の強ストローカー達の大いなる嘆きであったと思います。

nadal-6a.jpg
また、参考までにナダルにいきますと、この選手は分類がかなり難しいんですが
強いて言えば「弱」→「強」なのではないかと思います。
追い込まれた場面なのにウィナー級を返してしまうという凄みのあるショットです。
フェデラーもジョコビッチも持っているショットですが、ナダルが一番の使い手と言っていいでしょう。
もちろん「弱」→「中」や「中」→「強」よりは使える場面は限られます。

agassi-2a.jpg
この3人の特徴を過去の強ストローカーに当てはめてみますと
ジョコビッチの「中」→「強」はアガシに相当するのはないかと思います。
どちらが有利かわからないような強打の打ち合いから
渾身の一撃でエースを取るシーンは正にアガシのストロークでした。
カフェルニコフやコレチャとの、「中」なんだか「強」なんだかよくわからないような
激しい打ち合いから、エースをズバッと決める所などは見ごたえ満点でした。

borg-7a.jpg
フェデラーの「弱」→「中」はボルグだと思います。
相手がストローク戦で主導権を握れないという点でその安定した強さは共通しています。
ボルグといえば球筋からナダルと比較したくなるところですが、
形の確立したストロークの組み立ては、フェデラーのほうが近いのではないでしょうか。
フェデラーも、その多彩なショットから軟打に特徴があると感じますが
多彩なショットはオプションであって、ストローク戦の基本については形を持っています。
バックのスライスが顕著な例です。チェンジオブペースで使うシーンはありますが、
ラリーの主軸では使っていません。ラリーでのフェデラーのバックはほとんどがトップスピンです。

lendl-back2a.jpg
ナダルの「弱」→「強」はレンドルでしょう。
両者とも様子見のラリーでは「中」だけでなく敢えて「弱」も打ったりします。
レンドルの場合はスライス、ナダルの場合はスピンです。
「強」のショットも素晴らしいのですが、ただ強打で圧倒するだけではなく相手に合わせた組み立てがメインで、
むしろ打たせてからのカウンター気味のショットに特徴があります。
相手が攻めに出た時の逆襲のショットについてはこの両者の右に出る者はいないでしょう。


むりやりな現在と過去の比較論ですが、まあお遊び程度に考えてもらえればと思います。
私もこうして一々過去の選手を取り上げて皆さんに思い出してもらうのに必死です。

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テーマ:テニス - ジャンル:スポーツ

  1. 2011/08/16(火) 19:10:15|
  2. 雑記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
<<2011年、シンシナティはマレーの優勝 | ホーム | 2011年、カナダ・マスターズ1000、なんとなんとフェデラーまでも>>

コメント

非常にシンプルかつ的確な分析だと思います。
これまで日本の解説者はジョコビッチのことを
カウンターパンチャーに分類することが多く、
自分としては非常に違和感があったのですが、
管理人様の分析で腑に落ちました。
では、このトップ3に少し水をあけられている感のある
マレーはどうご覧になりますか?
持ち味としてはナダルに近いとは思いますが、
こうして考えると、どのポイントでも物足りなさを感じてしまいますね。
それがいまのマレーの悩みどころなのかもしれません。
最近のマレーを見ると、強いていえばナダル型からジョコビッチ型へ
シフトしようとしているように見えるのですが、
本当にそれが正解なのか、あるいは、ジョコビッチ型に
たどりつけるのか否か、という疑問も残ります。
  1. URL |
  2. 2011/08/16(火) 22:53:10 |
  3. シズヱダ #miMQlMy.
  4. [ 編集]

今回も面白いお話を提供してくださり
ありがとうございます。大変興味深いです。

つまる所ラリー戦における
ギアの扱い方という解釈で
よろしかったでしょうか?
思えばなるほどと納得し得る
点が多くありました。
ジョコビッチですが、
スイッチの切り替え方に関し
特に変化が見られると言う意見に
共感を覚えます。

個人的には細かく見るとキリが無いくらい
彼の改善された点がある気がしますが、
経験的な勘によるものが大多数なので
ここでは述べないことにします。^^;

記事の内容はレンドルやボルグの事を
知らない私にとっては彼らのスタイルを
想像するにあたり大変参考になりました。
アガシについてもです。
私は彼を現役晩年の頃しか見た事が
ありませんので、長く観戦してらっしゃる
方々と印象が違うかも知れません。
その上でアガシを語ると、
相手を崩す一本を持った攻撃型で
ちょこちょこした動きがカワイイ選手
的な印象が強いです。


  1. URL |
  2. 2011/08/16(火) 23:03:42 |
  3. 渚 #-
  4. [ 編集]

>シズヱダ様

マレーですが、私も書き込んで頂いた内容とほぼ同意見になります。
私の感覚では「弱・中・強」の単発のショットがそれぞれ優れている選手になりますが
一方で、「弱」→「中」や「中」→「強」のような主導権を逆転するような切り替えのショットは持っていないと思います。
まあ、持ってないというと語弊がありまして、もちろん持ってはいるわけですが、
他の3者のような抜きん出た特徴を有しているわけではないということでしょうか。
元々ストローク戦で絶対的な優位に立って勝負するタイプではないですから
持ってないからと言ってそれほどマイナスというわけではないと思います。
ただ最近は力強い球も打ってくるようになってまして、
敢えて言えばジョコビッチタイプになるのではないかと思います。

>渚様

お手間でなかったらジョコビッチの改善されたと思われる部分もどうぞ書き込んで下さい。
何せ私も最近はあまり試合自体を満足に観戦できておらず、
細かなチェックができていない部分がありますのでそういった情報は大歓迎です。

また、過去の選手との比較ですが、割と最近のアガシはともかく
レンドルやボルグとなりますと随分時代が違いますので、ストロークのあり方自体が
今とは違っていることもあって単純な比較は少し難しいところもありますね。
漠然としたイメージだけでもつかんでもらえれば嬉しいです。

  1. URL |
  2. 2011/08/17(水) 09:20:46 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

納得の分析でした。
いつか錦織くんも分析してください!
守備力が弱いジョコビッチタイプだとわたくしは考えてます。
  1. URL |
  2. 2011/08/17(水) 09:36:56 |
  3. たなぽん #-
  4. [ 編集]

管理人さん、忙しい様でしたらYoutubeのMrSuperTennisのCHが
オススメですよ。トップ3の試合を
中心に録画観戦が楽しめます。
2005年頃の試合も込みですし。

マレーがどの分類かは確かに
迷いますが、配球術重視で相手
を手玉に取るゲーム的要素の
強い選手ですので当然ですよね。

ジョコビッチの改善点ですが、
これはあくまで私の観察に過ぎません
ので鵜呑みにしないで下さいね(。-_-。)

体幹と脚の強化が最大のキーポイント
だとおもっています。本人がTwitterで
言っていました。
それに伴って、
ショット後のひねり過ぎと
上体が折れる事がなくなり
効率が上がったように見えます。
サイドに振られた時の動きでは、
ポジションへの入り方や
ターンが上手くなっています。
スライドを使う事が減ったのは
この動きの改善が大きいかなと
思っています。
おかげでランニングショットで
シャープなスイングもできている様で
振られてもキレのいいショットを
お見舞いする場面が目立っています。

後は、フェデラーにも共通して
思う事なのですが、フットワーク
全体がスマートになりました。
膝の屈伸も上手くなりましたし、
特にバックサイドでこの要素が
貢献してくれているかと。

と個人的な推察と観察でした。
  1. URL |
  2. 2011/08/17(水) 10:11:13 |
  3. 渚 #-
  4. [ 編集]

>たなぽん様

錦織については充分に試合のほうをチェックしていないので
まだプレーについて色々と語れる段階ではないのですが
思うところがあれば是非やってみたいと思います。
欲を言えば調子の悪いところも沢山観たいところです。
調子の善し悪しの両方をチェックすることで見えてくる部分もあると思います。
それにはまずしっかりとコンスタントにTVに映ってもらわないといけないんですよね。
安定して試合に出る選手になれば自然とそうなるはずなので
まずはそこまで登って行って欲しいところです。


>渚様

ありがとうございます!
何となくもやっとしたものが明快になりました。
私も、ジョコビッチの追い込まれてからの切り返しのショットが、
良く打てるようになっているなと思ってたんです。
それも特にバックハンドのほうで感じていました。
ジョコビッチ自身の明確な強化があったわけですね。
両手打ちバックの選手は低めの球をいかに自然に返すかがポイントになりますので
膝の折り方は極めて重要だと思います。
今後の大会では体の使い方も色々チェックしながら観戦を楽しみにしたいと思います。
  1. URL |
  2. 2011/08/17(水) 16:46:20 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

 なんだかみなさんの考察のレベル高いですね!私は割と単純なことしか見えてなかったんだなと認識・・・。

 ジョコビッチは今回もさすがの安定感ですね。守備が硬くてどうやって崩せばいいものか・・・?

 ジョコビッチって、決してどのショットも威力が1番じゃないんですよね。ジョコビッチよりも威力のあるショットを打てる選手はいくらでもいますから・・・。でも、ストローク戦という点で総合力はダントツだと思います。

 私の中では、今年のジョコビッチは「攻撃オプションのある、力負けしないヒューイット」になったんじゃないかなと思いました。かつてヒューイットが守備力・守備的な配球で王者になりましたが、2003年にはパワー不足の点をつかれて負けはじめたのを思い出します。その後、2004~2005年は体重を大きくして復活しましたが、元々身長にハンデのある選手は走りまわる分だけ衰えも早かったように思います。

 それとスライスのバックハンドでの処理という点では、ヒューイットは覚醒後のフェデラーに負けが込んでいたときに印象的でした。ヒューイットはフェデラーのスライスをバックで返球しようとしたときによくネットに引っ掛けていた印象があります。奇跡的(?)にそのバックが上手くいっていたのが2010年のハーレですね。

 ジョコビッチはバックのスライスの返球も上手くいですね。今年の全豪のフェデラー戦もうまかった・・・。以前のジョコビッチは、バックハンド側はよく軸ブレを起こしていた印象があります。具体的には、頭が折れるというか・・・。去年の後半辺りから、軸ブレがほぼ見られなくなったと思います。今年になって、だいぶ板についてきた感じなんでしょうか?

 身長の面でいってもパワー不足はない体格ですし、守備力まで高まったジョコビッチを崩すのは容易ではありませんね・・・。
  1. URL |
  2. 2011/08/17(水) 19:26:30 |
  3. toto #-
  4. [ 編集]

>toto様

ヒューイットとジョコビッチを重ねるという考察ありがとうございます。なるほどと思わせる部分があります。
ストローク全体がパワー化してきたのとヒューイットの力が陰ったのとが時期的にちょうど重なりますね。

私の場合はグロージャンとフェレーロも印象的で、
あんなに勢いのあるショットを打つ選手がなぜ勝たなくなってしまうのかと思っていたのですが、
その後出てきた選手たちとの試合を観て、
なるほど、他の選手達が既に追いついてしまっているのだなと嘆息したことがあります。

ジョコビッチ天下はどこまで続くのでしょうか。
できればジョコビッチが落ちるのではなく新たな選手が追い越すという形を望みたいものです。
  1. URL |
  2. 2011/08/24(水) 00:38:45 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

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