レンドル最強説&フェデラー最強説blog

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錦織圭と佐藤次郎

前記事「錦織圭と松岡修造」の続きです。

日本史上最強の選手は?という問いにはどのような回答がいいのでしょうか。

常々最強論に答えは出ないということを申し上げてはいるのですが
その中で敢えて一人の名を出してみるということになるならば
それは「佐藤次郎」になります。

松岡と錦織はほぼ互角だし、錦織はまだこれからの選手、
ということで古い名を出してみました、などということはありません。

日本テニス史上最強はやはり佐藤次郎だと思うのです。

一般にテニス史を語るには1968年のオープン化後、
もしくは1973年のランキング制度後ということになりますが、
実際にテニス史はその遥かに前から存在しています。

satoh-1a.jpg
佐藤次郎は1908年生まれ。1930年代に活躍した日本人最初期の世界的な選手です。
グランドスラムではなんと5回もベスト4に進出しました。
内訳は全豪1回、全仏2回、全英2回です。全米のみは4回戦が最高でした。

当時は既にプロツアーも始まっていましたが、戦後のように
プロの方がアマチュアよりも格上であるという認識はまだありませんでした。
むしろアマチュアのグランドスラムが今と同じように最高のテニス大会であったと言えます。

そこで佐藤次郎は大活躍を見せました。
1932年ウィンブルドンではディフェンディングチャンピオンのシドニー・ウッドを下し、
翌1933年には全仏であのフレッド・ペリーを下しています。

1933年にはランキング3位に認定されました。
当時は公式のワールドランキングは存在しなかったため雑誌社などによる独自集計が行われていましたが
これはその中のウォリス・マイヤーズ選定によるものです。
因みにこのランキングの対象はアマチュア選手のみでありまして、
プロ選手も含めた別のランキング統計では6位に認定されています。

※参考までにランキングトップ8です。青がアマ、赤がプロ
 クロフォードペリーニュスラインチルデンコジェルフ佐藤オースチンバインズ
 アマチュアではクロフォード、ペリーに次ぐ3位ということになります。

グランドスラムベスト4の5回という数字は女子を含めても日本人過去最多です。
女子では伊達公子の3回が最も多い数字になっています。
伊達はまだ現役ですので、今のところ3回、という言い方にしておきましょうか

さて、そんな佐藤次郎ですが、栄光の時代は長く続きませんでした。
絶頂の翌年、1934年には投身自殺をしてしまうのです。
佐藤は慢性的な胃腸炎を患っていて、それが原因ではないかとか
テニスに対する情熱が激しく、何度もベスト4にまでしか到達出来なかっことを恥じたとか
幾らかの説はありますが真相は定かではありません。

さて、この過去のものとして忘れ去るにはあまりにも惜しい佐藤次郎の活躍ですが
その全盛時代が1933年であったことに疑いの余地はありません。
そうまた出ました!この年、佐藤次郎25歳です。やっぱり逃れられないですね25歳ピーク説。
今から100年以上前に生まれた選手ですが、そんな昔でも25歳ピークは共通事項になっています。

遥かな高みを考えた場合、錦織が目標とすべき選手は松岡よりも佐藤次郎であると言っていいと思います。
ランキングは6位(欲を言えば3位)、グランドスラムベスト4進出5回、
そしてフレッド・ペリーのような歴史的大選手からの勝利、とかなりの高いハードルですが、
少しでも迫ってくれるでしょうか。興味が尽きることはありません。

cochet-2a.jpg
佐藤次郎のプレースタイルは、よくフランスのコシェを手本としていたと言われます。
コシェは典型的な技巧派の選手です。技巧ということでいえば歴史上屈指といってもいい存在です。
当時の日本人選手たちの集合写真を見るとその中で佐藤はかなり背が高いのですが、
それでも世界と戦うには日本人選手はパワー型ではなく技巧型であることは重要な事項でしょう。

松岡の場合は技巧派という感じではなく
むしろ例外的に恵まれた体格を活かしてサーブのパワーで世界と戦った選手です。
錦織には松岡の体格はありません。目指すのならば佐藤型であると思います。
確かに今の時代はパワーが無くては上を目指せません。
しかしその結果が体を痛めつけるのでは意味がありません。
私個人としてはやはりまず技術を磨くのが重要ではないかと思います。
技術が高まればそれに裏付けされた強ショットを使うことも充分に可能です。

25歳前にピークを迎えてしまった選手のうち、初めから強打で登場したクーリエはまだしも、
ヒューイットについてはパワー型への移行が早すぎたのではないかと思います。
今後の錦織の可能性としてヒューイットのようになってしまう恐れはないではありません。

現在はフェレールやダビデンコ、少し前ではグロージャンなどは
体格が恵まれていないながらもダイナミックでかつ足元の技術にも長じたショットを打ちます。
いずれも技巧派というにはややパワーよりかもしれませんが
これらの例をとってもプレーの幅はいくらでもあるように思います。

さて、日本の男子テニス史を鳥瞰した場合、
重要な存在として5人の選手の名を上げていいと思います。

・清水善造
・佐藤次郎
・神和住純
・松岡修造
・錦織圭

今回清水と神和住に触れることはありませんでしたが
どちらも日本テニス界に無くてはならない重要な選手です。
いずれサイト本体のほうで日本人選手特集をやりたいと思います。

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テーマ:テニス - ジャンル:スポーツ

  1. 2011/10/31(月) 11:02:54|
  2. 雑記
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:12
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コメント

佐藤次郎氏、相当昔の話とはいえ凄い選手ですね。錦織にはこの人のランキングを抜いて欲しいです。

錦織はまだまだフィジカルに改善の余地があるとは思いますが、そもそも体格で海外勢に劣る錦織が力押しでプレーするのはもっと危険ですよね。ある程度パワーに対抗できることは現代テニスの必須条件ですが、恵まれた体格だからこそパワープレーを続けられる、その事実はどうしようもないですし。

錦織はやはり技巧に長けることが過酷なプロテニスで生き残る道だと思います。ただその場合、1撃でポイントを取れる現在のトップ10に比べて、我慢強さが求められるのは言うまでもないかもしれませんね。その意味では175センチのフェレールは貴重な存在ですが、彼も力押しは一応出来ますし。

しかし考えてみると、体格って究極的な才能なのかも知れませんね。瞬発力なんかは後天的に鍛えることで体格が大きくてもスピードを確保できるかもしれませんが、体格だけはどうしようもない問題です。またしても妄想ですが、今のBIG4もフェレールぐらいの身長だったら、今ほどの活躍ができたかどうか・・・。あくまでも妄想ですが、やはり成績は今ほど突出したものではなかったように思います。特にサーブがモロに影響を受けるでしょうね。

もちろんデカイ=強いなんて単純なものではないでしょうが、170センチ以下の身長でトップ100にいるのがロクス弟だけっていうのがまさに・・・。やはり体格は努力で埋めようのない差ですね・・・。
  1. URL |
  2. 2011/11/01(火) 02:05:34 |
  3. TOTO #-
  4. [ 編集]

>TOTO様

近年は、どのスポーツでも大型化が進んでいまして、そのほとんどで大きな選手がトップを占めています。
これはもうどうしようもない流れなのかもしれないですね。

もちろんテニスでも、体格がないとトップではやっていけない部分もありますが
それでも比較的、大きさが成績に直結していないほうかもしれません。
フェデラーもナダルもジョコビッチも皆180cm以上ありますので
普通の感覚からすれば充分大きな人たちですが
スポーツ業界では取り立てて大柄というわけありません。

テニスでは2メートルあれば問答無用で強い選手というわけではなく
サーブが速いという利点こそあれ、決してそれだけでランクは上げられず、
カルロビッチやアイズナーよりもフェレールやダビデンコのほうがランキングが上
ということを考えれば錦織にもまだまだチャンスはあると思いたくなります。

  1. URL |
  2. 2011/11/02(水) 15:34:31 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

ありがとうございます

待ってました!ついに日本人選手特集(?)ですね。
今年はテニス放送にテコ入れしているWOWOWの番組で佐藤次郎を取り上げていたので見ました。

フレッドペリーを破り世界3位に上り詰めた佐藤の強さと弱さというような構成でしたが、強さについては筋力に焦点を当てていたようなイメージでした。
あだ名は「ブルドッグ佐藤」で、力強いショットで攻め切るスタイルと紹介していました。

GS等の大会では活躍を続けるのに、なぜか国別対抗(今のデビスカップ?)では活躍できず、国内から批判される事が続き、最後は自殺したという流れでした。
当時は国別対抗が最大のメインイベント(日本国内の位置付けという意味でしょうか)で、GSの活躍も喜ばしいが、国別対抗で勝つ事が最大の活躍という風潮の中、何故か国別対抗が始まると体調を崩したり、調子が出なかったりという佐藤は、大きな重圧の中で一人責任を背負い、潰れてしまった、そこに結婚相手(婚約者)とのすれ違いや葛藤等が入り混じり、自ら命を絶つという結末を迎えてしまったと描かれていました。

興味深く観ていましたが、複雑な気持ちでした。ハラキリ文化なのでしょうか。

残る日本人選手を含め、サイトを楽しみにしています!!
  1. URL |
  2. 2011/11/03(木) 02:54:36 |
  3. 蘭丸 #QD09qMkA
  4. [ 編集]

>蘭丸様

貴重な情報をありがとうございます。
なんとTVでやってたとは。これは嬉しいところです。
そぁそ完全にチェック漏れしてました。
WOWOWだったらまた再放送してくれるでしょうか。

もう少し色々と調査して是非とも日本人ページを充実させていきたいと思います。
  1. URL |
  2. 2011/11/04(金) 10:41:10 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

ご無沙汰しております。
今回、こちらの記事を読んだのをきっかけに、以前読んだ佐藤次郎氏のノンフィクション「さらば麗しきウィンブルドン」を、改めて再読、拙ブログで採り上げてみました(TBもさせていただいています)。

WOWOWの番組は自分も見ていないのですが、「さらば麗しき~」で読む限りは婚約者との仲はとてもうまく行っていたようですよ。
著者は主として、佐藤次郎をはじめとした選手の心身の負担を省みず、収益獲得のため試合を強行させた当時の日本テニス協会を糾弾するような立場をとっているように感じます。

時代背景からテニス界の状況などまったく異なるとはいえ、現在の日本テニス協会がかつての愚を繰り返さぬことを願うばかりです。
  1. URL |
  2. 2011/11/12(土) 03:10:16 |
  3. rene #.v.hivmE
  4. [ 編集]

>rene様

ありがとうございます。
ブログの方にもコメントさせて頂きました。

当時のテニス界はまだ世界的に混沌としていて、フレッド・ペリーでさえ、プロになったときに、テニスなんかで金を稼ぎやがってと白い目で見られたと言っています。
そんな中、戦前の日本で協会が選手たちにどれだけの敬意を払っていたのか、色々と想像も働きますが文献などをあれこれ探ってみたくなります。
  1. URL |
  2. 2011/11/15(火) 11:07:42 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

テニス 詳しいですね~

佐藤次郎が フレットペリーに 勝ったのは 知りませんでした! 投身自殺は マラソンの 円谷 みたいですね~ かなり 詳しいですね~ ラケットも ひょっとして ウッドですか? スラセンジャーなんて いいですね~
  1. URL |
  2. 2012/06/03(日) 16:58:38 |
  3. 素浪人峠三十朗 #-
  4. [ 編集]

>素浪人峠三十朗様

コメントありがとうございます。
当サイトは元々歴史的な記事をメインに取り扱ってますので
この記事に反応いただいてとても嬉しいです。
いつかサイト本体のほうで日本人特集を組みたいと思っております。

スラセンジャーはラケットメーカーとしてもそうですが
何と言ってもテニスボールメーカーとして歴史も存在感も絶大ですね。

私自身はもう何年もテニスラケットを握っておらずそろそろやばいなと思っています。
  1. URL |
  2. 2012/06/04(月) 14:59:05 |
  3. Au-Saga #3/VKSDZ2
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. |
  2. 2012/11/27(火) 21:29:51 |
  3. #
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. |
  2. 2012/11/27(火) 21:33:41 |
  3. #
  4. [ 編集]

この時の記事の言葉が今
現実の物となるかもしれません
  1. URL |
  2. 2015/06/01(月) 11:25:55 |
  3. 2015kei #-
  4. [ 編集]

数年前の記事へのコメント、大変失礼いたします。
テニスに触れる度、いつも楽しく拝見させて頂いています。

単刀直入に、
錦織選手と佐藤選手の比較、今現在の戦績での比較となると、一体どうなってくるのでしょうか?

管理人様が遥か昔に期待なさっていた数字を、まるで予言(フラグもいつも楽しませていただいています)だったかのように越えていく全盛期の錦織選手。
ランキング上位滞在記録等も含め、佐藤選手と肩を並べたと言ってもおかしくないようにも思えますが、これはあくまで1ファン、1視聴者としての主観です。
管理人様への尊敬と感謝の念を込めて、今一度、錦織選手vs佐藤選手、御検討よろしくお願いいたします。
  1. URL |
  2. 2017/02/17(金) 20:04:59 |
  3. GTX-PRO #-
  4. [ 編集]

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「さらば麗しきウィンブルドン」

 日本近代テニス草創期である昭和8年、当時の世界ランキングで3位となりながら非業の自殺を遂げた、今なお日本人プレイヤー史上最強の呼び声も高い伝説の名選手、佐藤次郎の栄光と蹉跌を追った表題作の他、2編を収録したスポーツノンフィクションの名著。◎「さらば麗し?...
  1. 2011/11/12(土) 02:34:09 |
  2. 閑中忙有

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